セールスと云うは問題解決と見付けたり

不動産仲介

昨日は、雨の日曜日。友人からのご紹介を受け、午後は中古住宅の訪問査定に行ってきました。ご依頼頂いたのは高齢のご夫婦。施設への入所の予定があり、ご自宅の売却をご検討中でした。

通常、訪問時には査定のための物件の調査はもちろんのこと、売却の理由や、依頼主様の状況などをヒアリングしています。依頼の中に、顕在化されていない問題がないか、売却以外にご家族の問題を解決する手段がないかなどを確認するためです。

昨日も、現在のお住まいをご購入した経緯や、家族構成、現在のライフスタイルなど、売却に際して重要なこと、まったく関係のないこと問わず、色々な話をさせて頂き、偶然にもお嬢様が学校の先輩であることが分かったりと、有意義なヒアリングが出来ました。

特に今回は、売却の意向を確認していた際、依頼主の奥様がしみじみと口にした、「次に入院などで施設に入ったら、この家には戻ってこれないかもしれない」という言葉に、この案件の大切さ、自身の職務の責任の大きさを感じました。

不動産業者としては、仲介の依頼を受けた一軒の中古住宅。しかしそれは、高齢のご夫婦が長年暮らした思い出の詰まった唯一無二の家。そこには査定額や相場云々では計り知れない部分が沢山あります。

よく”忙しい”という字は、心を亡くすと書くと言われますが、日々の業務や、生産性という言葉は、時として”一件一件の大切さ”を希薄にします。無論、会社を預かる身としては、成果こそが全て。より多く、より大きな物件をお預かりして、契約して、売り上げを上げることが至上命題。商売だけを考えれば、ご夫婦の馴れ初めも、お子様達との思い出も、仕事の自慢話も、本題からかけ離れたただの世間話。商談としては遠回りで、非効率で、生産性も下がります。

しかしながら、ピントがズレたご提案では、満足して頂くことや価値を感じて頂くことは出来ず、適切な人間関係や対話もなく、想いを汲むことは困難です。原点に立ち帰れば、依頼主様の問題解決や、依頼主様の想いを叶えることこそが、我々が提供出来るサービスであり、我々の価値そのもの。依頼主様の一言は、そんな極々当たり前のことを振り返る良いきっかけとなりました。

夕食時に、妻にその日の顛末と、自分の仕事の責任について話すと、「そんな大切なことをあなたに託すことが出来て、依頼主さんは本当に良かったね。」と、一言。まだまだ私自身、未熟な半端者ではありますが、”知識は礼儀”と研鑽を重んじ、信頼に値する仕事を目指してきた手前、傍で一番自分を見てきた妻からの一言は、価値あるギフトになりました。

これからも、依頼者様の想いに寄り添い、価値ある仕事が出来るよう、精一杯努めて参ります。