賃貸だから・・・と思ってませんか?

活動記録

先日、ある入居者と話していた時に耳にした、「賃貸だから仕方ないですが・・・」というフレーズ。不動産業者であれば、多くの方が一度は耳にしたことがあるような、どこにでもあるフレーズですが、これが何故だか心に残っていました。

よくよく考えてみると、世の中には、賃貸だから仕方ない、賃貸だから我慢するしかない、賃貸だから肩身が狭い、そんな風に思いながら日々暮らしている方というのは、割と多いのかもしれません。しかしながら、住まいがない程に困窮された方や、ホテル暮らしなどの一部の方を除けば、住まいは持ち家か賃貸の2パターンだけ。本来、賃貸だからという理由が、我慢や肩身の狭さに直結するのはおかしな話ではないかと、疑問に感じています。

賃貸<持ち家。賃貸は持ち家に劣り、賃貸ぐらしはグレードを求めてはいけない。そんな固定観念が、賃貸だから・・・に集約されているわけです。考えてみると、その思考に至るには十分な理由はたしかにあります。

例えば、賃貸物件のキッチンのワークトップ(天板のこと)は、人工大理石のものを殆ど見かけません。これだけ人工大理石のワークトップが流通する中、賃貸物件のキッチンが高級なセラミック製のものとはいかずとも、ステンレスばかりじゃなくても良さそうなもの。むしろ、賃貸は公団型のキッチンを使用する、ワークトップはステンレスに統一するっていう決まりでもあるのかと思うほどです。

トイレだって、新築や、リフォームで新しく入れ替える時は、通常なら温水洗浄便座が提案される時代。しかし、賃貸物件では、暖房便座とか、何もついてないとか、注文住宅ではあまり採用されない仕様が普通にあります。

このようなギャップが生まれる背景の一つに、サービスを提供する家主側が、賃貸だから・・・という理由で、設置する設備のグレードを意図的に落としているということがあります。僕自身、大家さんや、工事業者さんとの打ち合わせの中でも、「まぁ、賃貸なんで・・・」という言葉を聞いたのは一度や二度ではありません。賃貸なのにそんなにいい材料もったいないとか、取りあえず使えたらいいとか、そんな話が出ることも普通にあります。

確かに、投資効率、費用対効果の問題はありますし、古いものでも壊れてなければ大切に使うという側面もあります。投資はより小さく、リターンはより大きい方が良いのは当たり前。設備云々より、入居が決まればそれでいいという考え方も、決して間違っていません。そして、どんなサービスでも、グレードは色々あって然るべきですし、当たり前のことです。

しかし、近頃、僕がこの賃貸だからという言葉に何となく違和感を感じるのは、これをオーナーが使えば消費者を少し軽んじているような感じがしますし、これを入居者が使っているということは、不動産賃貸業というサービスの質が軽んじられているように感じるからです。

サービスの提供という視点でいうと、上手く行っているオーナーさんほど、入居者さんに喜んでもらえれば・・・という話がでますし、物件にも投資をされており、入居者さんの満足度が高い印象です。逆に、貸家業に不慣れな方ほど、貸し手の都合ばかりを話し、借りる人の気持ちまで気が回らない人が多い感覚があります。(あくまで個人的な感想です)

日本の住宅ローンは、世界屈指の低金利。家賃並みというお決まりの誘い文句で、賃貸のお客様は次々に住宅を購入しています。住宅を販売するセールスマンの話が本当かどうかは別として、同じ支払いで広くて綺麗で便利な家に移れるなら、新築を選ぶのは当然のことです。

では、それなら支払いが一緒であれば、賃貸<持ち家なのか。答えは、ノーです。賃貸だから満足出来る、賃貸だから伸び伸び暮らせる、賃貸だから・・・ということがメリットになるような、そんな暮らしもきっとあります。

シングルや転勤族の方、定住しない、変化を求めるライフスタイルの方も沢山います。持ち家のような満足感のある賃貸、持ち家のようなグレードの賃貸、賃貸ならではのライフスタイルが可能な賃貸、そんな賃貸の地位を向上させるような物件、サービス、そんなものを作ってみたいと思う今日この頃です。