あなたの空室が掲載されない理由

賃貸経営

賃貸の仲介は、空室を仕入れ、それを紹介し、成約したら手数料を頂く仕事。仲介業者にとって、空室は商品であり、その仕入れはとても大切です。オーナー様のマンションやアパートがあってこその商売であり、空室なくして賃貸仲介は成り立ちません。

しかし、以前のブログでも書きましたが、オーナー様が仲介業者に募集を依頼したにも関わらず、ポータルサイトには掲載が行われていないケースが少なからず存在します。なぜあなたの物件は、ポータルサイトに掲載をしてもらえないのか、今日はそんな話です。

※以前のブログで、機会があれば掲載しない理由についてもブログで書くとしていましたが、その内容についてお問い合わせ頂きましたので、今回ブログにしました。

変わり続ける賃貸業界

掲載しない理由をより理解して頂くために、業界の変化について少しお話します。
僕がこの業界に入ったのはおよそ13年前。時代でいうと、ちょうどiPhoneが日本で発売された頃。まだ、スーモのキャラクターもいなかった時代です。

それは、まだガラケーがガラケーと呼ばれる前の時代。スマホユーザーというより、iPhoneユーザーが増え始めたころで、まだまだネットよりも書店やコンビニで売られている情報誌での部屋探しが主流でした。実際、僕が業界に入ったころは、広告の担当者が情報誌の限られた枠の中で、あれこれ考えながら掲載物件を選定していたのをよく覚えています。

情報誌に掲載される物件情報の多くは、大まかなエリア、間取り図、敷金・礼金の額、賃料等と設備ぐらいで、写真はほぼ皆無でしたので、電話で詳細を確認してくる方が沢山いました。

スマホの普及というパラダイムシフト

2008年にiPhoneが日本に上陸して以降、僕もiPhoneを購入した一人ですが、当時はキャリアがソフトバンクだけということもあってか、使っている人は一部でした。しかしながら、iPhoneは新機種発表の都度メディアに大きく取り上げられ、auもiPhoneの販売をスタートし、ドコモのAndroid端末も出てきて、スマホは一気に普及しました。

また、最初は遅かった通信速度も、3G、4G/LTEと進化し、ネットでの部屋探しが主流となるまで、それほど時間はかからなかった様な気がします。
調べてみると、athomeのスマホアプリが2010年にリリースなので、僕が業界に入って2〜3年の間の事ですが、現場にいた感覚としては、あっという間に賃貸仲介の世界は変わったという印象です。

部屋探しの主流はポータルサイトへ

そして、そんな時代の変化の中で台頭し、部屋探しに大きな変化をもたらしたものが、みなさんご存知のsuumoやhome’sやathomeなどのポータルサイトです。圧倒的な知名度、情報量、集客力を誇り、全国どこでも物件の情報を無料で得ることが出来ます。

今や部屋探しは、不動産屋に行かなくても、雑誌を買わなくても、スマホ一つで情報が得られる様になりました。また雑誌では考えられない程の情報を得る事が出来ます。接客もオンラインで面談が可能ですし、現地に行かなくてもVRを使って室内を体感出来る時代になりました。今となっては賃貸住宅の情報誌は、まだ書店にあるかどうかもわからないほどです。

しかし、ポータルサイトが主流になり、ユーザーが便利になるその裏側で、仲介業者の負担も増加して行きました。ポータルサイトのユーザーは、より多くの情報、より綺麗な写真を求める様になり、いつしか物件写真の撮影だけを行うスタッフを採用する会社や、動画の編集を外注する会社も出てきました。

掲載内容にも差がある

ポータルサイトで部屋を探した経験のある方はわかると思いますが、同じサイトの中にも動画を掲載している物件(会社)と、掲載してない物件(会社)があります。動画だけでなく、パノラマ画像や、360°カメラの画像もそうですが、物件の情報量に差があります。

僕自身は、どんな物件でも動画で訴求した方がいいと思っているわけではありませんが、ユーザー目線に立てば、動画はあるに越したことはないと思いますし、募集を依頼したオーナー様も、より多くの情報を掲載して欲しいと思っているのではないかと思います。

では、なぜ動画を掲載している物件と、そうでない物件に分かれるのでしょうか?

掲載内容に差が出る理由

この動画が掲載されていない理由は、以下の3つがあります。

  1. ただ単に動画を撮影していない
  2. 掲載枠が限られており、他の物件が優先されている
  3. 元々、動画を掲載できるプランで契約していない

ポータルサイトは各社料金体系は違いますが、基本的にサービスを増やせば費用もかさみます。動画の掲載だけでなく、パノラマ画像や他のサービスやればやるだけ費用がかかります。費用を出せば、検索時に上位に表示させることなども出来たりします。
いずれにしても、理由の2番、3番は、募集コストの問題です。

海老で鯛が釣れているか?

掲載内容もそうですが、一般的に掲載する数を増やせば増やすほど、掲載する期間が長ければ長いほどコストがかかります。

仮に、空室1部屋の掲載のコストが月々4,000円だとすると、1年間48,000円の広告宣伝費となります。この物件の家賃が1ヶ月40,000円の場合、仲介手数料は募集している会社が自社で仲介すれば40,000円、客付などの共同仲介の場合は折半して20,000円となります。

当たり前の事ですが、この物件の場合、仮に1年後に成約したとしても、折半であれば赤字です。物件が決まらず、賃料が入らないオーナー様も頭が痛いと思いますが、何年募集しても決まらない物件を掲載し続ける仲介業者も頭は痛いのです。

掲載後すぐに反響が取れ、コストをかけずに成果に繋がる、まさに「海老で鯛を釣る」様な場合は良いですが、逆のパターンになる物件も少なくありません。
特に、一般媒介の様に、数社が募集しているケースとなると、コストをかけて募集したにも関わらず、他社で成約してしまうケースもあります。

また、成約時の手数料は賃料によって決まるため、賃料が高ければ高いほど手数料は高くなります。一方、募集コストは、賃料が高くても安くても基本的には同じ。そのため、人気があって賃料が高い物件を募集する方が効率がよく、決まらず賃料が安い物件の募集は効率が悪いのです。

不採算物件

ご理解頂けましたでしょうか。
ひと昔前、オーナー様は空室が出るたびに、不動産会社に声を掛ければ募集活動を終える時代がありました。しかし、スマホの普及というパラダイムシフトは、圧倒的な集客力を誇るポータルサイトへの依存を生み、物件を飾るショーケースの家賃は上がっていったのです。

そして、いつしかそのショーケースに見合わない物件は、ショーケースから排除される様になりました。そうです、その排除された物件こそが、掲載されない物件の正体です。つまり、あなたの物件が掲載されない理由の一つは、あなたの物件がコストに見合わない不採算物件だと思われているからです。

人気がなく、募集が長期にわたり、賃料が安く、成約時の手数料が安い。その上、一般媒介で何社も募集を行っているため、募集コストをかけても自社で決まるかも分からない。
物件自体も、室内写真を撮るのも憚られる様な状態。これでは、情報量を増やせば増やすほど決まりません。

元々、不動産業者が行う広告は、限られた枠の中で、優先順位をもって行われていました。だから、例えポータルサイトにあなたの物件が掲載されていないとしても、店頭では紹介しているかもしれませんし、コストのいらない自社のHP等には掲載されているかもしれませんので、募集をしていないわけではありません。ただ、ポータルサイトに掲載する物件ではないのです。

大切な募集。しっかり物件を掲載し、反響を得たいのは仲介業者もオーナー様も同じ。この異動期を成功に導くため、今一度物件を見直すことが大切です。